計算技術による学際的統計解析ワークショップ

開催概要

高度な計算技術を活用した統計手法研究を目指し,計算技術・統計手法に関する研究発表を通じた研究者の交流を目的とします.口頭発表はオンライン配信予定(質疑応答は対面を最優先します).

参加登録はこちら

スケジュール

(*口頭発表は全て招待講演)
2月17日
13:00-13:20
奥野彰文(統計数理研究所)
開催趣旨: 計算技術と統計手法研究の融和を目指して
本ワークショップでは主に統計手法・数値解析・最適化・計算代数など様々な分野で活躍されており,また異分野との交流にも積極的な研究者を9名お呼びしました.分野の垣根を超え,今後の研究につながる建設的な議論ができればと思います.
13:20-14:00
寺田吉壱(大阪大学)
大規模データに対するクラスタリング法について
大規模データに対しては, k-means法などの単純なクラスタリング法を用いることが多い. しかし, 単純な方法では, データの背後にある複雑なクラスタ構造を捉えることができない可能性がある. 本発表では, 大規模データに対するクラスタリング問題について, いくつかの研究を紹介する.
14:00-14:10 休憩
14:10-14:50
相島健助(法政大学)
数値線形代数に現れる最適化問題と一致推定量について
数値線形代数における最小二乗法のような最適化の計算手法は,ある種の統計モデルに対する一致推定量になることが多い.本発表では,一致推定量に関する古典的な結果や最新の著者の研究成果を紹介する.
14:50-15:30
柳下翔太郎(統計数理研究所)
刈込損失に対する効率的な一次法構築のための再定式化テクニック
本研究では,Least trimmed squaresおよびそのロジスティック回帰版に対する最適化アルゴリズムについて考える.ある再定式化を施すことで,効率的な最適化アルゴリズムが適用可能になる.
15:30-16:30 ポスターセッション(講演者一覧
16:30-16:40 休憩
16:40-17:20
廣瀬慧(九州大学)
計算機代数を用いた因子分析の最尤推定値の性質
一般に、因子分析では、観測変数が多変量正規分布に従うという仮定のもと、最尤法でパラメータを推定する。最尤推定値は、複雑な多変数代数方程式を解くことで求められるが、この方程式の厳密解を求めることは困難であるため、連続最適化問題によって近似解を得るのが一般的である。 しかしながら、対数尤度関数の非凹性のため、連続最適化問題によって得られた値は必ずしも最適解ではない。実際、最尤推定値がアルゴリズムや初期値に大きく依存することがある。この問題は特に、独自因子の分散が0または負となる不適解問題が生じた場合に顕著に現れる。そこで、本研究では、計算機代数(数式処理)を用いて多変数代数方程式の厳密解を計算する。具体的には、因子分析モデルの最尤推定値の候補をグレブナー基底などの手法で算出し、複数の解の候補から尤度関数を最大化する解を選択することで最尤推定値を得る。このアプローチにより、初期値や推定アルゴリズムに依存しない最適解を得ることが可能となる。さらに、最尤推定値が存在しない といった性質も明らかにできる。モンテカルロシミュレーションを通じて、最尤推定値の特性を網羅的に解析し、不適解が生じる原因に関する考察を行う。 なお、本研究は九州大学の深作亮也先生、長崎大学の加葉田雄太朗先生、山口大学の寺本圭佑先生との共同研究である。
17:20-18:00
深作亮也(九州大学)
計算代数と統計手法研究の融和を目指して
様々な代数方程式が数理統計モデルでは現れる。数理統計モデルにおける代数方程式をいくつか紹介するとともに、これらの多変数多項式イデアルとしての代数的取り扱いの一般論についてお話しする。
18:20-18:45 徒歩移動
18:45-20:45 懇親会
  • DRUNK DRAGON 立川店
  • 参加登録時の事前申込制,1人5000円
  • 2時間飲み放題 (90分でラストオーダー)
  • まだ人数には余裕があります.
  • 予定変更で参加を希望される方は,速やかに奥野までご連絡ください.
2月18日
10:00-10:40
今倉暁(筑波大学)
複素モーメント型固有値解法とその応用
本講演では,複素平面上の指定領域内部の固有値と対応する固有ベクトルを周回積分に基づき限定的に計算する「複素モーメント型固有値解法」の概要について解説する.また,最近の進展として,無限次元固有値問題や行列関数計算などへの応用について紹介する.
10:40-11:20
佐藤峻(東京大学)
微分方程式に対する構造保存数値解法とその応用
応用上現れる多くの微分方程式は保存則や対称性などの重要な構造をもつ.構造保存数値解法とは,そのような重要な構造を離散化後にも再現する数値解法の総称であり,理論・実験の両面で優れた性質を示してきた.本講演では,構造保存数値解法の概要と近年の応用について紹介する.
11:20-12:00 ポスターセッション(講演者一覧
12:00-13:00 昼休憩
13:00-13:40
加葉田雄太朗(長崎大学)
そこにあるはずの特異点を求めて
混合分布においてパラメーターを変えると峰の数などがポコポコ変わる.そのような分岐の瞬間には退化した関数の特異点が現れているはずである.が,統計の問題で実際に特異点を決定するのは意外と難しい,という話.
13:40-14:20
松田孟留(東京大学)
リザバーコンピューティングによる競技かるたの決まり字の解析
リザバーコンピューティングとは、非線形力学系の入力への応答をもとに計算を行う手法で、脳の情報処理のモデルにも用いられている。競技かるたとは、百人一首の札を取る速さを競うスポーツであり、どの札が読まれたか一意に定まる最初の数文字のことを決まり字とよぶ。たとえば、「ち」で始まる札の決まり字は「ちは」「ちぎりき」「ちぎりお」である。本研究では、リザバーコンピューティングによって読み音声データを解析し、決まり字より早い段階で札を識別できるか検証する。
14:20-14:30 クロージング
14:30-15:30 所内見学ツアー
統計数理研究所:地下1階(計算機展示室)を予定

ポスター講演者リスト

(*は学生発表.ポスターセッションは2回ありますので,少なくともどちらか片方では説明をお願いします.)
1. 大田浩史(東京大) Finite-sample inference on outliers in high-dimensional contaminated linear regression models
2. 山﨑遼也(一橋大) シグモイド型逆リンク関数の学習
3. 山下洋史(大阪大) Kernel herding によるモンテカルロ積分の適用範囲拡大と性能評価
4. 加葉田雄太朗(長崎大) Singularities in bivariate normal mixtures
5. 室屋秀平(九州大)* 精確な推定を実現するglmnetの設定値選択
6. 三戸圭史(総研大)* 有向グラフでの複素Non-backtracking行列とクラスタリングへの応用
7. Zhang Yuhui(東京科学大)* TULiP: Test-time Uncertainty Estimation via Linearization and Weight Perturbation
8. 増田伊吹(筑波大)* モジュラリティ最大化に基づいた線形次元削減手法
9. 田中一希(都立大)* 包括的Grobner基底系を用いたparametricイデアルの根基計算
10. 山田悠介(九州大)* フィードバックループの非緩和性
11. 司馬博文(総研大)* ベイズ変数選択の計算的解決

ポスター発表の希望登録 (~2024/12/20)

本ワークショップでは,統計数理研究所 (東京都立川市) にて対面でのポスターセッションを予定しています. 発表をご希望の方は 2024年12月20日(金) までに ポスター発表の希望登録フォームへご登録ください.ポスター希望者は聴講参加の希望登録もお願いします.(12月22日更新) まだ余裕がありますので,奥野と面識のある方で発表をされたい方は当日までに直接メールをください.

聴講参加の希望登録 (~2025/1/31)

対面・zoomでの聴講参加をご希望の方は 2025年1月31日(金) までに 聴講参加の希望登録フォームへご登録ください.なお,参加者数把握のため12月末ごろまでの登録にご協力いただけますと非常に助かります.zoomリンクは開催前にお送りします.


主催: 統計数理研究所 リスク解析戦略研究センター(データ駆動型リスク解析のための計算数理プロジェクト)