異分野連携について

異分野との連携研究を積極的に推進しています.これまでに,天文学やプラズマ物理分野との共同研究が論文化されており,現在もさまざまな分野との共同研究が進行中です.これらの実績については,研究紹介#異分野連携の項もぜひご覧ください. ご関心をお持ちの方は,お問い合わせページをご一読のうえ,okuno@ism.ac.jp までお気軽にご連絡ください.

異分野連携を始めるにあたり

統計手法研究者と各応用分野での異分野連携を始めるにあたり,統計側から見た注意点や,ご留意いただくと嬉しい点を紹介します.

  1. 興味対象は人それぞれ
    研究室紹介にもあります通り,我々「統計手法の研究者」は,データ解析結果だけでなく手法そのものにも強い興味があります.一方で,ご相談をお持ち込みいただく各応用分野の研究者は,研究対象の解析結果そのものに興味があることが多く, 手法そのものは何でもよい場合が多いので,興味の位置が大きく異なります.例えば「既存の方法」を「自明な適用先」に「そのまま適用する」というルーティンワークに落とし込まれてしまうと,統計手法サイドとしてはただの流れ作業の受注となってしまい,非常に苦しい状況になります. 多少なりとも手法研究の側面が混じるとやる気がわいてきます. (なお実際に問題を聞いてみると,既存法だけではカバーできない場合がほとんどです)
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  3. 「解析方法の選択」は統計側に一日の長がある
    ご相談いただく際,「〜〜という方法があると聞き…」や「〜〜という方法を研究されているとお聞きしまして」といった形で,善意で解析方法をご指定いただくことがあります.とても運が良ければ,ここから共同研究が生じることもありますが,多くの場合,その通りに適用できれば上述のルーティンワークとなり,適用できなければ無理な方向で敗戦処理をすることになります. そのため,手法研究側としては非常に苦しい状況に陥りがちです.「解析のやり方」は,こちらにお任せいただけるとスムーズに進む場合が多いです.

ではどうすればよいのか?
「これができそう」(方法)ではなく,忖度なしの「これがやりたい」(目標)を共有してください. せっかく共同研究をするのに,お互いに「できそう」と思うことをそのままやっても,「それはやればできるよね」という結果しか出てきません. 統計手法によってその問題が解決できるかは場合によりますが,ひとまず同じ方向を向くことはとても重要です. 経験上,目標をうまく言語化するには時間がかかりますし,目標を説明していただけるくらいの信頼関係を築くにも時間がかかります.また,説明を理解するためにも長い時間がかかります. 一方で,「やりたいこと」の共有によってインスピレーションが湧き,これまで考えたことのない面白い問題設定が生まれることもあります.せっかく時間をかけるのであれば,お互いに楽しい共同研究を目指しましょう!